私がまだ20代だった頃のお話し。

当時、白いマルチーズを兄夫婦が飼っていて、家の中ではなくて中庭に犬小屋があり、それも2階建の私の部屋の真下に犬小屋がありました。

その犬のマルチーズ名前はトップ

人が来れば吠え電話が鳴れば吠えて、主人に教えてくれる賢いワンちゃんでした。

その頃の私はいろいろと壁にぶち当たり悩んでいた頃で、正直、兄夫婦が飼う犬に心を寄せる余裕がなくて、いちいち吠えるトップを煩わしく感じでいました。

トップが吠える度に「うるさい!」と何度も叱りつけていました。

思い出せば我が家は私が幼い頃から何故かずっと犬を飼う家で、私は子供の頃からあまり動物が特別好きだった訳ではなく、家族もそんなに犬が好きな感じに思えませんでした。

なのに何時でも犬がいる不思議な家でした。

父がすぐに犬を飼って来る。

父はとても神経質な人で犬の鳴き声に悩まされる人なのに、どうして犬を飼うのか今考えても不思議です。

では、このトップという名のマルチーズにまつわる不思議な出来事をお話しします。

それは梅雨末期の激しく降る雨の晩、トップがクンクンクンクンと悲しそうに泣き続ける‥‥

夜は何時も静かなのに何故こんなに泣くのか?

相変わらず外は激しい雨降り、泣き止まないトップ、私は階下の犬小屋を見に行くことに決めました。

すると土砂降りの雨の中、犬小屋の脇に置かれたテーブルの脚に首輪からの鎖が絡まり、雨に打たれ続けてびしょ濡れのトップが泣いていました。

私はすぐさまテーブルの脚から鎖を緩め、バスタオルでびしょ濡れのトップの体をふいてやりました。

トップは嬉しそうに犬小屋の中に入って行きました。

そんなことがあった雨の日から1か月は経ったある夏の夜、2階の自室でテレビ観ていた時のことガリガリと窓の網戸に何かが引っ掻いた音がしたので見ると、なんとトップが網戸に爪を立て浮かんでこちらを見ていました。

えっ!えーそんな事があるわけがない。

私の部屋の真下に犬小屋があり、地上から2階までは約4メートルはあったと思います。

そんな跳躍をマルチーズが垂直に出来るわけがない。

でも確かにそれはマルチーズのトップでした。網戸にトップの爪痕が残ってました。

あれは間違いなくトップだった。

この出来事から私は、このマルチーズのトップとすごく仲良くなりました。そして今思えばトップが私を見たくて幽体離脱したのだと思います。そうとしか思えない。

きっとあの雨の日のお礼を言いたかったんだと思います。

あの夏の日の出来事は、今思い出し出しても本当に不思議な出来事でした。

それから私は何となく犬の思いがわかりようになりました。

動物はテレパシーで思いを伝えてくる。