私の生まれた家には、第二次世界大戦で散った戦死者がいます。

彼は祖父の弟。

彼はフィリピンのレイテ島で27歳で戦死しました。

戦後生まれの私は、大叔父の顔は遺影でしか知らない。そして出会ったこともない遺影の中の彼に、特別な感情を抱いたこともなかった。

彼は長い間、祖母に取り憑いていた。

祖母は寝ると毎晩大きな寝言で、隣に寝ている祖父を困らせていた。だが、その寝言の内容に誰も耳を傾けることもなく月日は過ぎた。

祖父は鬼籍に入り、その頃まだ独身だった私は祖母の部屋の隣の部屋に移ることになった。

大人になった私は、毎晩繰り広げられる祖母の寝言に少し耳を傾けてみた。

戦争で戦っている内容に聞こえる。何度聴いてもそう聴こえる。

そんなある晩

眠りにつき、夢と現の間に私に心霊現象が起こった。

相変わらず凄まじい寝言で七転八倒の祖母の声を聴きながら、いきなり兵隊さんが行進する映像が目の前に広がり、すぐ胸を銃で撃ち貫かれ死にゆく場面が展開し、それはまるで自分の胸を銃で撃たれたかのような衝撃が私を襲った。

彼は遠い見知らぬ国で、国ために戦い自分がどうやって死んでいったのかを私に教えている。

彼は戦火の中、胸を銃で撃たれて力尽きた。

これが彼に起こった現実。

意に沿わない無念の戦死。

私は悲しくなった。

そして死してなお行くところに行けず、祖母に取り憑つく原因は何なのか私は知りたかった。

ある日、霊能者と言われる人のもとに訪れる機会に恵まれ、その方の所に伺い祖母の件を相談した。

祖母には死霊と生霊の両方が取り憑き、理由は恨みつらみだと言われた。

やっぱり。

「この人は、生涯何一つ良い行いをしていない」と言われてしまった。その時祖母は80才。

霊能者の言葉には説得力がありました。

そして二度と祖母の件で私の所に来ないで欲しいと言われた。

あーなんてことなのか。

私は心の中で彼に詫びた。そして今度生まれ変わって来る時は平和な時代に長い寿命を待ち、人生を全う出来るよう祈らずにはいられなかった。

祖母はその後、92才まで生きることになる。

祖母の悪業の数々は、また違う機会に書きます。

国の為に戦い散って行った沢山の若者の御霊に感謝し、彼等の犠牲のもと私たち今日平和な時代に生きている。

戦争に大義なんてあるはずが無い。

どれだけの命を犠牲にすれば、私たち人類は学習するのだろうか。

なのに他国では今だに戦争の只中に生きる人達がいる。

私は日々祈る事しか出来ない。

戦禍の中にいる人達が平安、希望、神を見出せますようにと。

そして1日でも早くこの無意味な戦争が終わり、人々に平和が訪れ笑顔を取り戻すことが出来ますように。